レーザー彫刻を行う際に欠かせないのが「素材テスト(Material Test)」です。
LightBurnには素材テスト機能があり、彫刻のスピードとパワーの組み合わせを事前に確認して、最適な設定を見つけることができます。
今回は、100均で購入できるDAISOのMDF板を使って、LightBurnで素材テストを行う方法を解説します。

↑DAISOのMDF6枚入りです。100円で6枚入っているため、失敗を気にすることなく使えるのでおすすめです。
厚さが6mmと分厚いため切断は難しいですが、彫刻を試すには十分かと思います。
使用したもの(必要な機材と素材)
- 素材:DAISOのMDF板
- レーザー彫刻機:AtomStack P1 (ダイオードレーザー)
- ソフトウェア:LightBurn
LightBurnの「素材テスト」とは?
素材テストとは、彫刻する際のスピード(加工速度)とパワー(レーザー出力)の組み合わせを試し、その素材に最適な設定を見つけるためのテストです。
- 素材ごとに適したパラメータが異なる
- 同じMDFでもメーカー(例えばDAISOとSeria)が違えば仕上がりが変わることがある
- 最適な設定を見つけることで、焦げや彫刻の薄さを防げる
このように素材テストを行えば、きれいな仕上がりを安定して得られるようになります。
【実践】LightBurnでMDF素材テストを行う方法
標準サイズでの素材テスト
手順
- MDF板を底板にセットします。(AtomStack P1では、機械原点=白枠の左下角)
- レーザーの焦点距離を調整します。(参考:AtomStack P1の焦点距離の合わせ方)
- LightBurnを起動し、開始場所を[絶対座標]に設定します。
- メニューの「レーザーツール」から[素材テスト]を選択します。
- 垂直方向(スピード)の値を以下の値に調整します。(AtomStack P1以外の機種の場合は最大速度を調べたうえで、最大の値が機種の最大速度を下回るように設定してください)
- 回数:11
- パラメータ:速度
- 最少:1000mm / 分
- 最大:6000mm / 分
- 高さ:5.00mm
- Y軸中央:50mm
- 水平方向(パワー)の値を以下の値に調整します。
- 回数:10
- パラメータ:出力
- 最少:10.0%
- 最大:100.0%
- 幅:5mm
- X軸中央:50mm
- [プレビュー]ボタンをクリックします。
- 正しく設定が反映されているかを確認し、問題なければ[OK]ボタンをクリックします。
(注意:警告が表示された場合) - [開始]ボタンをクリックします。その後テスト彫刻が開始されます。
⚠️火災・発火の危険があるので、彫刻中は目を離さないようにしてください - 彫刻が終了したら、MDF板を取り出して結果を確認します。
参考:AtomStack P1の焦点距離の合わせ方
- レーザーの位置をMDF板の上に移動させます。(手で押すだけで移動可能)
- レーザーの高さ固定ネジを反時計回りに回し緩めます。
- 焦点距離調整用の金属部分を下げます。
- レーザーの高さを材に接触するまで下げます。
- 高さ固定ネジを締めます。
- 焦点距離調整用の金属部分を元の位置に戻します。
注意:警告が表示された場合
結果例
以下の画像が私の環境での結果になります。

①弱すぎる設定 → 薄く彫刻される
②強すぎる設定 → 綺麗に黒になっているように見えますが、煤がかなり多く素材が焦げすぎています
③適切な設定 → 焦げずに色濃くきれいな彫刻(煤も少ない)
といった結果になりました。なので今回では③の範囲からスピードとパワーの組み合わせを決定します。
👉 この手順で、素材に最適な「スピード×パワー」の組み合わせを見つけられます。
小さい範囲で素材テストを行う方法
大きなMDF板を使えない場合や、端材(切れ端)で試したい場合には、テスト範囲を小さく設定できます。
手順
- 1回目で使ったMDF板を裏返し、再び原点に合わせてセット。
- レーザーの焦点距離を調整(同じ手順)。
- LightBurnを起動し、開始場所を[絶対座標]に設定します。
- メニューの「レーザーツール」から[素材テスト]を選択します。
- [高さ]と[幅]の値を2.50mmに変更し、[Y軸中央]と[X軸中央]の値を30mmに変更します。
- [プレビュー]ボタンをクリックします。
- 正しく設定が反映されているかを確認し、問題なければ[OK]ボタンをクリックします。
(注意:警告が表示された場合) - [開始]ボタンをクリックします。その後テスト彫刻が開始されます。
⚠️火災・発火の危険があるので、彫刻中は目を離さないようにしてください - 彫刻が終了したら、MDF板を取り出して結果を確認します。
結果例
以下の画像が私の環境での結果になります。(左上の部分は無視してください、、、)

1回目の半分以下の面積で素材テストができました。
このように1個あたりの彫刻範囲を小さくするか、スピードとパワーの刻み方を大きくすることで印刷範囲を小さくすることができます。(例. スピードを1000刻みにして縦幅を半分にする)
👉 小さい端材でも効率よく素材テストが行えるため、素材を無駄にしません。
よくある失敗と対策
- 焦げてしまう場合 → パワーを下げる or スピードを上げる
- 彫刻が薄い場合 → パワーを上げる or スピードを下げる
- 線がぼやける場合 → 焦点距離を再調整
MDF以外にもアクリルや木材などで同様のテストが可能です。
まとめ|100均MDFで気軽に素材テストを試そう
今回の練習で学べること:
- 1回目 → 標準サイズで素材テストを行い、最適なパラメータを見つける
- 2回目 → 範囲を小さくして、端材を使って素材テストを行う
100均のMDFを素材テストに使えば、コストをかけずに試行錯誤が可能です。
これからレーザー彫刻を始める方にとって、最初の練習として最適です。
👉 次回は、レーザー彫刻初心者がつまずきやすい「原点設定」について解説予定です。