レーザー彫刻を始めたとき、つまづきやすいのが原点(開始場所)の設定です。
LightBurnで設定できる原点には、
- 絶対座標(Absolute Coordinates)
- 現在の位置(Current Position)
- ユーザー原点(User Origin)
の3つがあり、それぞれがどういった原点かを理解しておく必要があります。
今回は、100均で購入できるDAISOのMDF板を使って、実際にMDF板に彫刻をしながら、LightBurnの原点の設定を解説します。

使用したもの(必要な機材と素材)
- 素材:DAISOのMDF板
- レーザー彫刻機:AtomStack P1 (ダイオードレーザー)
- ソフトウェア:LightBurn
原点(開始位置)とは?
原点(開始位置) とは、レーザー彫刻機が「どこから加工を始めるか」を示す基準点のことです。
この設定を正しく理解していないと、思った場所とズレて彫刻されたり、素材の外にはみ出してしまう原因になります。
LightBurnでは、先ほど挙げた3種類の方法で原点を指定できます。それぞれの特徴を整理してみましょう。
3種類の原点の違い
- 絶対座標(Absolute Coordinates)
LightBurnのキャンバス上の位置=レーザー彫刻機の物理的な位置になります。
ベッドサイズを正しく設定していれば、画面の通りの位置にそのまま彫刻できるので、最もシンプルで初心者におすすめ。 - 現在の位置(Current Position)
加工を開始する瞬間のレーザーヘッドの位置を原点とする方法。
素早く試したいときに使えますが、位置合わせを間違えるとズレやすいので注意が必要です。 - ユーザー原点(User Origin)
加工前に自分で「開始点」を指定して、その位置を基準に彫刻します。
複数回同じ場所に彫刻したいときや、端材を使うときに便利。
実際にMDF板で試してみる
DAISOの100均MDF板を使って「テキスト彫刻」を行いながら、それぞれの原点設定を試してみます。
素材をレーザーベッドの左下に置き、LightBurnの原点を切り替えながら加工すると、違いがはっきり分かります。
デザインを作成
- LightBurnを起動し、左サイドバーのAと書いてあるアイコンを選択します。
- キャンバスの原点近くでクリックします。そうすると下図赤枠のカーソルが表示されます。
- 「TEST」と入力します。
- [高さ]を10mmに設定します。
- 左サイドバーの選択アイコンをクリックします。
- 先ほど入力したテキストをクリックし、ドラッグしてキャンバスに収まるように配置します。
絶対座標(Absolute Coordinates)で彫刻
手順
- 開始場所を[絶対座標]に設定します。
- [原点復帰]ボタンをクリックします。
※画像を貼る - MDF板を底板に配置します。
- 焦点距離を調整します。
- LightBurnで[カット/レイヤー]タブを開き、速度を3000、最大出力を40に変更します。
- [開始]ボタンをクリックします。
- 彫刻が終了したらMDF板を取り出します。
結果の確認
MDF板を原点に合わせて配置したので、キャンバスとほぼ同じ位置に文字が刻印されました。(左下)
このように絶対座標は直感的で理解しやすいかと思います。(中央の部分は無視してください。。印刷ミスです)

現在の位置(Current Position)で彫刻
手順
- 開始場所を[現在の位置]に設定します。
- ジョブ原点を中央に設定します。
- MDF板を底板に配置します。
- 焦点距離を調整します。
- 右のウインドウで、[移動]タブをクリックします。
- 下図の赤枠部分の矢印でレーザーヘッドを移動させ、MDF板の中央になるように調整します。
ダイオードレーザーの場合は、[照射]ボタンをクリックすることで弱いレーザーが出力され、位置合わせを行うことができます。
下の写真はAtomStack P1で照射した結果です。レーザーから出ている光がMDF板の中央になるように位置を調整します。 - [開始]ボタンをクリックします。
- 彫刻が終了したらMDF板を取り出します。
結果の確認
レーザーヘッドの位置を中央として、TESTという文字が彫刻されました。

ユーザー原点(User Origin)で彫刻
割愛
原点の使い分け
- 何回も同じ物を彫刻する → 治具を作って絶対座標で彫刻
- 1点ものを彫刻する → 現在位置(中央)で彫刻
がよいかと思います。
例えば、ステンレスのコインに独自のデザインを彫刻して大量に販売するなら絶対座標、買ってきた革の財布に自分の名前を彫刻したいなら現在位置(中央)といった使い分けがおすすめです。
まとめ:初心者は絶対座標から
LightBurnの「原点(開始位置)」は、最初に混乱しやすいポイントですが、まずは 絶対座標 を使えば安心です。
慣れてきたら、ユーザー原点や現在位置を活用することで、端材の活用や複数回の加工が効率的にできるようになります。
次回は、実際のLightBurn画面設定と、MDF板でのサンプル彫刻結果を詳しく紹介していきます!