はじめに:レーザー彫刻の「深さ」って指定できるの?
レーザー彫刻を始めたばかりの人がよく疑問に思うのが、
「どのくらいの深さまで彫れるの?」「1mmだけ掘りたいけど設定できるの?」という点です。
結論から言えば、レーザー彫刻では“彫る深さ(mm)”を直接指定することはできません。
では、どうやって深さをコントロールするのでしょうか?
この記事では、初心者の方にもわかりやすく、深さの仕組みと設定方法を解説します。
レーザー彫刻で「深さ」を直接指定できない理由
レーザー彫刻は、素材の表面を高温のレーザーで焼き切る・蒸発させる加工です。
つまり「どのくらい掘れるか」は、レーザーがどの程度のエネルギーを素材に与えるかで決まります。
主な設定項目
レーザー機で設定できるのは、主に次の4つです。
設定項目 | 意味 |
---|---|
パワー(Power) | レーザー出力の強さ。高いほど深く彫れる。 |
スピード(Speed) | 加工ヘッドの動く速さ。遅いほど深く彫れる。 |
回数(Passes) | 同じ場所を何度照射するか。多いほど深くなる。 |
フォーカス位置(Focus) | レーザー焦点を素材表面より上や下にずらして調整する。 |
これらの組み合わせによって、最終的な彫りの深さが決まります。
つまり「1mm掘る」と直接指定することはできず、設定条件の結果として深さが決まるのです。
深さに影響する5つの要素
レーザー彫刻の深さは、次の要因によって変わります。
要因 | 深さへの影響 |
---|---|
出力(Power) | 高いほど深く彫れるが、焦げや変形のリスクあり。 |
速度(Speed) | 遅いほど深くなる。同じ場所に長く照射されるため。 |
素材の種類 | 木、アクリル、革、金属などで反応がまったく違う。同じ素材でも色や密度でも最適なパラメータは異なる。 |
フォーカス位置 | 焦点を微妙にずらすことで、深彫り性能を高めることも可能。 |
実際に深さを調整する方法
ステップ1:素材ごとにテストを行う
まずは、使う素材の端材(はざい)でテスト彫刻を行いましょう。
下記のようにパワーとスピードを少しずつ変えながら、仕上がりを比較します。
- パワー:30%〜80%
- スピード:200〜1000mm/s
- 回数:1〜3回
LightBurnで素材テストを行う方法はこちら👇
ステップ2:結果を確認・記録する
- どの設定が一番きれいに、希望の深さで彫れたかをチェック
- 焦げ、溶け、変色なども合わせて観察
- ベストな条件をメモしておく
こうして一度条件を見つけておけば、同じ素材で安定した結果が得られます。
プリセット設定やユーザーコミュニティを活用しよう
最近のレーザー彫刻機には、メーカーやソフトウェア側で用意された
「プリセット設定」(素材別の推奨パラメータ)が搭載されていることがあります。
また、ユーザーコミュニティやSNS、フォーラムでも、
「パワー〇%・スピード〇mm/sでMDFが0.3mm掘れた」といった
実際の使用例や設定データが共有されています。
これらの情報を参考にすることで、
テストの手間を減らし、効率的に最適条件を見つけることができます。
ただし、機種・レンズ焦点距離・素材ロット差によって結果は変わるため、
最終的には自分の環境でテストを行いましょう。
まとめ:深さは「設定の結果」として決まる
- ✅ レーザー彫刻では深さ(mm)を直接指定できない
- ✅ 深さは「パワー」「スピード」「回数」「素材」「フォーカス」で決まる
- ✅ テスト彫刻で最適な条件を見つけるのが最も確実
少しずつ設定を変えながら、自分のマシンに合ったベストな条件を見つけていきましょう。